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Second Line ~ 久保田麻琴と夕焼け楽団 [日本のロック]

昭和アーカイブス セカンド・ライン

昭和アーカイブス セカンド・ライン

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2008/01/23
  • メディア: CD
ここ暫く、New Orleansの音、その影響をモロに受けた音、
これらを非常に好んで聴くようになってます。

その中の1枚、久保田麻琴と夕焼け楽団の「セカンド・ライン」。
オリジナルは、79年の発売。キモチよろしゅうございます。


さて、久保田麻琴と夕焼け楽団、あるいはその周辺、
実はあまり詳しくありません。

昔々、テクノ・ブーム時代に、細野晴臣との関係か何かを契機に、
サンディー&ザ・サンセッツ名義の、"Immigrants"を買った記憶があります。

IMMIGRANTS

IMMIGRANTS

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2006/09/13
  • メディア: CD

当時は、まだ若かったせいか、殆どピンと来ず。
アナログ盤という事もあり、押入れの奥で放置されたまま。
薄ぼんやりと、テクノっぽかったような気はしますが、
殆ど記憶は残ってません。

さて、話を「セカンド・ライン」に戻します。
アルバムのタイトル通り、New Orleansの匂いぷんぷん。

楽曲も、"Iko Iko"、"Walking to New Orleans"、"Dixie Chicken"等、
New Orleansの曲やその影響下の曲のカバー、
オリジナル曲もその匂いぷんぷんです。
ジャケットもイカしてます。今見ても全然古さを感じない。

それに加え、沖縄、中国への寄り道している曲もあり、飽きずに聴けます。

Levon Helm、Steve Cropper等なども参加。

この盤について、ライナー・ノーツの中で、久保田麻琴自身が文章を寄せてます。
少し長くなりますが、引用します。

「一枚のレコードがある人の音の捉え方を変えてしまうことがある。
ある特定の音質なりリズム感なりがその人の心を揺さぶって魂に入り込み
体ごと動かしてしまうこともある。ドクター・ジョンの『ガンボ』がそんな何枚かの
レコードのうちでも、最も強いゆさぶりと深い動きを私に与えてくれた。腹の
底からグラグラ揺れて胸のあたりがグッときて顔もユルみ頭は不思議な思いで
一杯になってしまう体験だ。細野氏の云わんとする下半身モヤモヤみぞおち
ワクワク頭クラクラというアイデアの底辺をがっしり固めてピラミッドにしたような
音楽とでも云おうか。『ガンボ』を聴いたあとは何を聴いてもどこか淡白だったり、
堅苦しかったりして物足りないという時期が続いた。頭は充分クラクラしても
足が動かなかったり下と上はイッているのに胸の辺が厚くワクワクこなかったりで、
かなり最近までそれと同じくらい心に満ちてくるレコードはそう簡単に見つからなかった
ほどだ。

さて、セカンド・ラインという言葉もそんな時期にどこからかやって来て私の頭の中で
響きだしたのだった。なんとなくそれがニュー・オーリンズR&B特有の跳ねるようで
粘る独特のリズムのニュアンスを指す言葉で更にそれをそのままフレーズ的に
反映したメロディ・ラインをはさみ込むドラム・スタイルなのではないかと思っていた。
そして、何回かレコーディング・セッションを共にしたドクター・ジョンの旧友であり
彼の長年の音楽仲間であるロニー・バロンを通して、また二度に及ぶニュー・
オーリンズでのマルディ・グラ体験を通して少しずつそれがマルディ・グラ・デイには
必ず登場するブラック・インディアンの行進に伴うパレード・ピープルのことを意味し、
タンバリンを中心としたいろんなパーカッションをルンバ・アクセントを交えた
8ビートで打ち鳴らしシンコペートされた2ビート・ステップでおどるような歩き方を、
更にそのビート感覚を取り入れたドラム・スタイル示すのだという風に理解を
深めていった。ルイジアナ各地からニュー・オーリンズに流れ込んだインディアン部族と
解放された黒人奴隷の混血が始まりブラック・インディアンの形成が始まったのは
18世紀前半のことだから二世紀以上をかけてラテン的そしてブードゥー的な要素も
取り入れてこの独特のパレード・ビートが出来ていったようだ。このビートをもとに
クレオール系の人たちが創始期のジャズをかたち作っていったし、50年代には
こればブルースやケイジャン的なバイヨー・メロディとむすびつきR&Bとして発展
していった今日、普通に用いられる8ビート・ロックの基本リズムは初期の
リトル・リチャードやヒューイ・スミスのR&Rビートであり、それはそのままセカンド・ライン
の原型そっくりのニュアンスを持つ。
また現代的な16ビートのダンス・ミュージックにはほとんど用いられるファンクという
アイデアも元はニュー・オーリンズ固有の音楽用語でフォンクと呼ばれるシンコペーションを
多様した複合リズムのことで、これも初期のR&Rビートをスローダウンして細分化し
その中に様々なアクセントのパターンを組み込んだものといえる。スローダウンしていく
過程についても日本の宴会の手拍子と同質のためとはずみを持つシャッフル感を失わず
今もニュー・オーリンズのすぐれた音楽家の演奏に脈々と生き続けている。また50年代から
60年代前半にかけてのニュー・オーリンズR&R、R&Bステーションの放送がカリブ海まで
届いてレゲエの構成過程に大きな影響を及ぼしたという。このR&Rの根本的なビートは
このようにして60年代から今に至るまで世の中に広まっていった。

このレコードはそんなとてつもなく強大なエナジーのうずを巻き起こしてきたハリケーンの
目のようなマジックのシンプルな力学とそれを回してきた人たちに、またそれを育てた
偉大な町ニュー・オーリンズに多大な敬意と愛着をはらい、この何よりも私の中のあらゆる
フィーリングを飲み込み一つの大きなエナジーに吹き上げてくれ、どんな波をも取り込み
のり越えてしまう魔法のリズム、セカンド・ラインを私なりに夕焼け楽団と共に表現してみたい。

1979年10月1日 久保田麻琴」


随分歳を食って、いろんな音を聴いたから、
今、この「セカンド・ライン」を楽しめるんだろうと思います。
79年にリアルタイムで聴いても、きっと分からなかっただろうな~。

"Second Line"からの曲、YouTubeで見つける事ができませんでしたが、
久保田麻琴関連のモノを少々。

ヒラケ・ゴマ。これは、"Immigrants"に入っていて、SandiiがVoです。
沖縄ですが。。。


"Jimmy Mack" by Sandii。久々聴いた。懐かしの80年代。


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コメント 6

tapara

久保田麻琴のこれはよく聴いたものです♪
ここのご紹介にあるように、海・波ものが微妙にブレンドされているようで、聴いていていい気分になってしまいます。

彼のアルバムは、ほとんどどれも好きです。
ゴジラのジャケのも、「ハイサイおじさん」の入っているやつも。
もしかしたら違うのかもしれないが、spontenousな音ですね。

ミニCD付きの彼著作の新書も、ありますよ。
あれはあれでおもろかったです。
by tapara (2008-09-07 15:27) 

kingbee

サンディー&サンセッツの頃から
活動がよりグローバルになっていって凄かったですね。
残念ながら80年以降の音に触れていないんですよ。

初期の3作品くらいがメインだったかな。
歌唱法も含めリラックス出来るサウンドが好きでした。
表現が見つからないんだけど、
なんかいい気持ちにさせてくれるんだよね。

by kingbee (2008-09-07 21:09) 

substitute

taparaさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
久保田麻琴さん、これまでは余り縁がなく、
恥ずかしながらビギナー・リスナーです。。。。
しかし、コレは好かったです!
また、散財先を増やしてしまいました。

欲しいCDは、沢山あるし、
アナログ盤を聴ける環境も作りたい・・・
されど先立つモノが。。。。
by substitute (2008-09-08 22:57) 

substitute

kingbeeさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
記事にも書きましたが、余り良く知らないんですよ、
久保田さん。。。
仰るとおり、このアルバムで聴ける音は、
とても心地良いですね。
デジタル化の際に手を入れたのか入れないのか、
定かではありませんが、音の質感も好みで、
シッカリ作られた印象を持ちました。
by substitute (2008-09-08 23:05) 

まり

名前は知っているけれどお金がなくて聴けないのは結構あります。
ウチは頭脳警察がダントツに揃ってます。

まだ聴いてないですが(~_~;)
この頃の音楽は安心して聴けますね。
娘が浜崎あゆみのベスト盤を買ってきたので毎日聴く破目に。
胎教にツェッペリンを聞かせたはずなのにど~ゆ~こと??
by まり (2008-09-13 14:52) 

substitute

まりさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
きっと気に入ると思いますよ、「セカンド・ライン」。
レンタルで見つけるのは難しいかも知れませんが、
機会があれば是非。

「あゆ」は、音は聴きませんが、コマーシャルに出てるのを
見ると、それなりに嬉しかったりして。。。アハハ
息子は、何故かビートルズしか聴きません。
我が家のビートルズのCDは、息子に管理されてます。
by substitute (2008-09-13 23:50) 

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