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Rhythm Country and Blues ~ Various Artists [Rock]

Rhythm Country and Blues

Rhythm Country and Blues

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: MCA
  • 発売日: 1994/03/01
  • メディア: CD
Don Wasのプロデュースによる、ユニークな企画コンピ盤です。
全てのトラックで、R&BとCountryのアーチストが共演。

映画、Blues Brothersでは、R&B/BluesとCountryは、
対極的な音楽として表現されていました。
そのように見られがちな2ジャンルの曲/アーチスト達のコラボ盤ですが、
決しておふざけではなく、聴き応え充分な、とても誠実に作られた企画盤です。


夜のネオン街で、金を水に変えて流していた、
(自称)失われた10年を取り戻すかのように、
ここ1~2年、アメリカ南部を起点とする音を漁りまくっています。

その指南書が、ミュージック・マガジン増刊の「アメリカン・ルーツ・ロック」。
本作は、この本でその存在を知りました。
そこでは、「ドン・ウォズの達観」と題された文章とともに、本作が紹介されています。

文章を要約すると以下のような主旨です。
R&B/BluesとCountryは、スタイルやテイスト、美学は異なるというのが、
一般的な見解であろう。
しかし、アメリカ南部では、これらは対立するものではなく、共存するものとして
聴かれ、演られるのが一般的であり、その最大の成果が、55年のR&Rの
誕生である。ウォズの達観は、この歴史的事実を背景としている。

珍しく、少々理屈っぽくなりました。

以下、収められている曲と演者です。
① Ain't Nothing Like The Real Thing: Vince Gill & Gladys Knight
 元々は、Marvin GayeとTammi Terrellが'68にリリース。
 Vince Gillは、80年代以降のカントリー界で最も成功した人の一人らしい
② Funny How Time Slips Away: Al Green & Lyle Lovett
 オリジナルはWillie Nelson
 Billy PrestonがHammondで参加
 Lyle Lovettは、'80以降のAlternative Country界のSSW + 役者
③ I Fall To Pieces: Aaron Neville & Tisha Yearwood
 Patsy Clineという女性Country Singerが'61にCountry Chartで初の#1を取った曲。
 Tisha Yearwoodは90年代から活躍
④ Something Else: Little Richard & Tanya Tucker
 オリジナルはEddie Cochran
⑤ When Something Is Wrong With My Baby: Patti Labelle & Travis Tritt
 Sam & Daveのヒット曲
 Patti LabelleはR&Bシンガー
 Travis Trittは、80年代末登場のCountry SSW
⑥ Rainy Night in Georgia: Sam Moore & Conway Twitty
 Brook BentonというAtlantic系R&Bシンガーが著名にした曲
 Sam MooreはSam & DaveのSam。
 Conway Twittyは、'93に逝去。
⑦ Chain Of Fools: Clint Black & Pointer Sisters
 Don Covey作の言わずもがなの曲。
 Clint BlackはCountryのSSW。80年代末登場
⑧ Since I Fell For You: Natalie Cole & Reba McEntire
 Buddy Johnsonという人が書いたJazzのStandard。
 Bonnie Raittが1stでカバーしてます。
⑨ Southern Nights: Chet Atkins & Allen Toussaint
 Chet Atkinsは、Countryの世界では大変なギタリストだったとの事。
 '01逝去。
⑩ The Weight: The Staple Singers & Marty Stuart
 Marty Stuartは、80年代中盤から活躍のCountry SSW
⑪ Patches: George Jones & B. B. King
 70年に、Chairmen of the Bord(どうもMortownを飛び出したHDHが立ち上げた
 Livictus/Hot Waxレーベルに所属していたらしい)が発表。
 ほぼ同時期に、Clarence Carterがヒットさせた。
 George Jonesは、50年代から活躍するCountry SSW

それぞれの曲のデキ、素晴らしいものがあります。
また、ジャケットの素晴らしい事。
黒い汗と白い涙を、ジッパー風に配置したアルバム・タイトルで結ぶ。
兎に角、極めて画期的な企画盤だと、感心する事しきりです。

Gram ParsonsやThe Bandの活動と残した音が、
個人的には改めて想起されます。

蛇足。
R&B/Bluesシーンにさほど明るい訳ではなく、
カントリー・シーンとなると一層も二層も怪しい筆者としては、
これまでで、最も難産の記事でした。
カテゴリーは、悩みましたが、Rock。他にカテゴライズ仕様がない。

Ain't Nothing Like The Real Thing by Vince Gill & Gladys Knight


I Fall To Pieces by Aaron Neville & Trisha Yearwood


Chain of Fools by Clint Black & Pointer Sisters


The Weight by The Staple Singers & Marty Stuart


オマケ。Something Else by Keith Richards


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コメント 12

まり

面白いアルバムですね
「ザ・ウェイト」が良かった!
アーロンはリンダ・ロンシュタットとのコンビもいいけどこれもいい!

共存してるのが南部の音楽なんですよね(^^♪
by まり (2009-03-19 21:08) 

substitute

まりさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
面白いでしょ、これ。

> 「ザ・ウェイト」が良かった!
曲自体が、このアルバムのテーマそのものを具現してるし、
なんせ、Staplesが演ってますからネ。
歌詞を忘れてもPopなら許せます。

> アーロンはリンダ・ロンシュタットとのコンビもいいけどこれもいい!
お姐さんシリーズで、あれだけ書いておいて、このコンビで演ったのがあったのは知りませんでした(汗)


by substitute (2009-03-19 23:00) 

ezee

出た当時、アル・グリーン目当てで買って大満足でした!
1曲目のグラディス&ヴィンスから最高ですね。企画自体素晴らしいし、曲も選りすぐりだったので、ほんまよく聴きましたわ
埋もれさせたくない名盤っすね!
by ezee (2009-03-20 12:24) 

リュウ

全然、知りませんでした・・・・。
こんな良さそうななものを・・・汗

曲&アーティスト見れば見るほど欲しくなってきます♪

と言うか、買いに行こう!
by リュウ (2009-03-20 16:29) 

substitute

ezeeさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
出た当時にお買いになるとは、流石、敬服。
15年遅れで聴きまくってます!

by substitute (2009-03-20 23:19) 

substitute

リュウさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
買って後悔することは無いと思います!
もう輸入盤しか無いかも。
それでも、インナー・スリーブも充実していて、満足度は高いと思います。

> 全然、知りませんでした・・・・。
> こんな良さそうななものを・・・汗
僕も同様です。入手したのはつい先日でした。
by substitute (2009-03-20 23:27) 

カナ

こんばんは!

このコンピ、発売された時に食指が動いたのですが、結局購入には至らず今まで来てます。でも好企画ですよね。

わたしのオールマンの記事のsubstitute さんのコメントへのレスで、

「日本人てどうしてもカントリーとブルースって別物って感じで分けたがりますが、南部の人たちのどっちも同じようにバックグラウンドにあって自然に混ざってる感じが好きです。」

て書きましたが、その日本人の別物に分けたがるのって、今思うと映画「ブルース・ブラザーズ」でのカントリーの描き方が大きかったのか、と、substituteさんの記事読んで気付きました。まあ、実際にあのような側面もあると思いますが、シカゴ人から見た南部をコメディ映画で極端にデフォルメして描かれてるのをそのまま受け取っちゃう人も多いだろうなあ、と、影響の大きい映画の功罪を思ったりしました。

あ、ミュージック・マガジン増刊のシリーズはわたしも愛読してます!
by カナ (2009-03-21 03:33) 

walrus

粋な企画ものですね〜。
ジャケットもコンセプトをうまく表してますね。
by walrus (2009-03-21 03:41) 

substitute

カナさん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。
カナさんのオールマンの記事を拝見したのは、この記事をアップした直後でした。題材は全く別ですが、同じような視点の記事だったので、ビックリ、また、嬉しくしてました!

とても良い盤ですよ、入手可能なうちに是非!
by substitute (2009-03-21 12:53) 

substitute

walrusさん、こんにちは。
コメント&Nice、ありがとうございます。
企画、ジャケット、そして肝心の音、申し分ありません。

by substitute (2009-03-21 12:54) 

tapara

カナさんの、映画「ブルース・ブラザーズ」のお話は興味深いです。

サザンソウルのほうから見ると、R&Bの中にC&Wの曲は多いし、ブルースブラザーズの映画でも出てきた「STAND BY YOUR MAN」などは歌姫Candy Statonもカバーしてることなど、ほとんどその境界は感じません。

それはともあれ、このアルバムはすごくよさげなので尼で注文してしまいました。
最近、30年前に聴いてきりご無沙汰だったRY COODERの2枚目をひょんなことで入手し、聴き入っている次第ですのでこれも楽しみです♪

substituteさん、ご紹介どうもありがとう。
by tapara (2009-03-22 16:01) 

substitute

taparaさん、こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
入手して一発で気に入った盤でした。

しかし、このアルバムに登場する、特にカントリー系の人たちの音を殆ど聴いたことが無く、記事にするのは大難産でした。Wikiやらなんやらで、記事を書く前の日に色々と調べたり。

> substituteさん、ご紹介どうもありがとう。
記事にした甲斐がありました。こちらこそ、ありがとうございます。

by substitute (2009-03-22 20:17) 

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